「心不全」は心臓の機能が低下して十分な量の血液を送り出せなくなる心臓の状態を指し、依然として根本的な治療法が存在しません。そのため、低下した心機能を大きく回復させる治療法や、リスクの高い心移植を代替する治療法の開発が急がれています。一方、高齢化や生活習慣病の増加に伴い、心不全患者は世界的に増加しており、「心不全パンデミック」と呼ばれる発症数・患者数の増加と医療費の増大が予想されています。
メトセラのミッションは、この心不全向けの新しい再生医療等製品を、出来るだけ安価に提供することです。これにより、これまでの治療法では十分な治療効果を得ることが難しかった患者様に対して新たな治療手段を提供するとともに、医療経済や社会保障負担の軽減という観点でも役割を果たすことを目指しています。
メトセラは近年の研究を通じて、同じ臓器の中に様々な種類の線維芽細胞があること、その中でも機能的な心組織の作製や、心不全の治療に特に適した線維芽細胞群(VCAM-1-positive Cardiac Fibroblast, “VCF”)が存在することを明らかにしました。VCFは培養が非常に容易でありながら、心筋細胞の増殖や移動を促進し、強い心組織の構築を促す力があることが分かっており、ラット・ブタ試験では高い心不全の治療効果を確認しています。メトセラは2017年11月にこの技術について特許を取得しており(特許第6241893号)、このVCFを活用し、患者様本人の細胞を用いた新しい再生医療等製品の提供を目指しています。